心因性の腰痛

ここでは心因性(精神性)の腰痛について説明して行きます。

腰痛にはヘルニアやギックリ腰など骨や筋肉に問題のある器質的な腰痛の他、ストレスなど心の影響で発症する非器質的な腰痛とがあります。

骨や筋肉の問題であっても腰痛によるストレスが長引くと、心因性による腰痛も重ねて発症します。ストレスが元の腰痛であっても、長引く事で慢性的に筋肉を硬くし器質的な腰痛も併発する事になります。ですからどちらか一方に偏った理由による腰痛は少なく、多くは器質的、非器質的どちらも混合した腰痛が多いのが実情です。

人間には元々、生活に支障をきたさぬ様、痛みを感じにくくする機能を有していますが、強いストレスにさらされたり、長くストレスを感じていると、この機能が働きにくくなります。

またストレスにより自律神経のバランスにも乱れを生じさせ、痛みを強く感じさせるようになります。自律神経は心臓の拍動や消化など自分の意思ではコントロール出来ない部分を司っておりますが、ストレスにより自律神経の交感神経が優位になると筋肉を緊張させたり、血管を収縮させ虚血痛を引き起こします。

プラシーボ効果という思い込みの効果がありますが、意識し過ぎる事は時に実際の現象と同じ症状を表します。電源の入っていないアイロンを、熱いと思い込ませて押し当てるとやけど痕が発生したという実験結果がある位です。痛みを意識し過ぎると、より脳や神経に痛みが記憶されてしまいます。「いつ治るかなぁ…まだ痛い」という考えに多くの時間をさくよりも、「まぁいつか治るだろう」という楽観的な気持ちの方が実際痛みは感じにくくなります。

ですから腰痛だからと理由づけて家に引きこもってばかりいるよりも、仕事をしたり、趣味を楽しんだ方が心因性の腰痛に良い場合があります。好きな動物を飼うのも治療法の一つです。アニマルセラピーと言って動物を飼う事で痛みが減ったり、なくなる場合もあります。

その他、状態としては複雑ではなかったにもかかわらず、一軒目の治療で的外れな事をされ複雑化し、病院、治療院めぐりをしているうちにより複雑になり、悪循環に陥るケースもあります。比較的治りやすい腰痛だったにもかかわらず、患者さんの心理状態としては「こんなにいろんな治療しても治らないなんて私の腰痛は難病なんだわ。」といった状態で、より痛みに固執し、難治性になって行きます。

いずれにしても心と身体どちらのケアも重要で、今の自分の状態を客観的に理解してもらう事が必要になってきます。