交通事故と腰痛

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交通事故と言いますと鞭打ち症による首の痛み、めまい、耳鳴り、頭痛、吐き気などがよく知られていますが、腰痛を訴える患者さんも意外と多くいらっしゃいます。

原因がわかりやすいものでは骨盤骨の骨折があります。車に乗車中の人が衝突した勢いでダッシュボードに脚をぶつけ、その介達力が骨盤に伝わり骨盤が骨折するというものです。歩行者や自転車乗車時、バイクにおいても、自動車と衝突する事で起きる事があります。


症状としては、出血によるショックや神経損傷、内臓損傷など重篤なものもありますが、骨折部の治癒後も続く慢性腰痛に悩まされる方もいます。骨盤は腰椎を始め上半身を支える土台なので、骨折によりズレて癒合したり、骨盤に付着する筋肉に損傷が出る事で、身体のバランスが崩れたり、筋肉がうまく働かなくなり腰痛へと移行しやすくなります。

骨盤における関節の仙腸関節がミリ単位でズレても不調をきたす事がある位ですから、骨折部のズレや変形治癒により腰痛が起きても不思議ではありません。また筋肉は骨に附着する事で骨や関節を動かしていますので、骨盤骨骨折により筋肉や筋膜が損傷したり、伸びたりすると腰の正常な可動を妨げ、腰痛の一因となります。

骨盤は中が空洞な輪のような形をしていますので、一箇所の骨折であればズレなどの転移はあまりなく経過も良好ですが、二か所以上の骨折になると不安定感が一気に増すので前述のような症状が出やすくなります。

ドーナツを例にすると、一箇所が切れても反対側が繋がっていれば分断はされませんが、二か所切れると完全に分断されます。骨盤においても同じ様な原理が働くので重症度が大きく変わって来ます。


首の鞭打ち症による間接的な影響による腰痛もあります。鞭打ち症によって首の靭帯や筋肉が伸ばされ、頸椎はストレートネックになりますが、その現象に反比例するように腰椎では反りを強くしようと過前弯になります。腰椎は反りがあり過ぎてもなさ過ぎても良くありません。重力による身体の重みを分散出来ないのです。そのため腰に負荷が蓄積し腰痛へと移行するのです。

その他、鞭打ち症により頸部の神経が引き伸ばされたり傷ついた結果、腰の痛み脚のしびれ、感覚麻痺が出る事もあります。首から足先に向かって神経は連なり繋がっていますので、首にダメージを負う事で、そこから離れた腰や下半身、内臓に影響を与える事さえあります。

このように腰痛にも影響を与える鞭打ち症ですが、病院では元々あった腰痛か交通事故によるものか判別できず、後遺症として認めない場合も多くある様です。