坐骨神経痛の意外な原因

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坐骨神経痛の原因として一般的に知られているものに腰椎椎間板ヘルニア、慢性腰痛症、腰椎分離すべり症などがありますが、ここでは坐骨神経痛の以外と知られていない原因について説明して行きます。

坐骨神経とは腰から足にかけて伸びる太い神経群ですが、そのどこか一点で圧迫を受ける事により、圧迫部分より下すべてがしびれや痛みを引き起こす事があります。

当院には腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症、腰椎すべり症などの治療のため、札幌市内の病院で手術をし終えた方がいらっしゃる場合があります。手術をされる方の多くに実際は腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症、腰椎すべり症が原因の坐骨神経痛ではなかったという事が起きていますが、当然ながら中にはそれらの病気が原因の坐骨神経痛の方もいます。

しかしそれら病気に直接の原因があり、手術により神経の圧迫を取り除いても坐骨神経痛がなくならない方も多くいます。

手術をしたのに坐骨神経痛がなくならない理由の一つに手術痕があります。手術痕は瘢痕組織、線維性組織などと呼ばれますが、弾力がなく手術前の状態よりも伸縮しません。

手術痕にしろ切り傷にしろ、人間には創傷治癒反応といって傷を治そうとする自然治癒力があります。人間の身体は表から表皮、真皮、皮下組織、筋膜と層構造になっているわけですが、創傷により炎症を起こし熱を持つと、それら浅い層にある様々な組織が癒着を起こし瘢痕化してしまいます。

例えるなら何枚にも重ねた食品用ラップフィルムを燃やした場合にくっついてしまうのとイメージが近いかもしれません。開腹手術により臓器間の癒着があるように、皮膚や筋膜などの浅い層でも癒着が起きるというわけです。

瘢痕組織により癒着が起きると表皮、真皮、皮下組織、筋膜などでそれぞれが自由に滑走出来なくなってしまいますので、動きが妨げられるばかりか、血液など体液循環も悪くなってしまいます。

例えば腰椎にメスを入れた場合、瘢痕組織は腰に出来るわけですが、上半身をおじぎするように前屈した場合、瘢痕組織は正常な筋膜や皮膚などの軟部組織と同じように柔軟に伸びる事が出来ず、ひきつれを起こし神経を刺激するので、坐骨神経痛を出しやすくなります。

人間の体は筋膜や皮膚によって全身ボディスーツのようにおおわれていますので、瘢痕組織が残るという事は単に手術痕が伸びないというだけでなく、全身のバランスにも少なからず影響を与えます。腰の瘢痕組織により肩こりや頭痛が起きる人もいる位です。

手術痕の中でも肥厚性瘢痕組織、またはケロイドと呼ばれる瘢痕組織は特にやっかいで、膨隆する分まわりの組織をより引っ張り込むので、坐骨神経痛など様々な症状をより引き起こしやすくなります。

ケロイドが出来るかどうかはその方の体質、体調にも左右されますが、執刀医の技術、傷口の縫い方、術後のケアも大きく関係してきます。仮にケロイドや膨隆の強い瘢痕組織が出来ても柔らかくして柔軟にする事は出来ますので、そのような理由による坐骨神経痛でも諦める必要はありません。